シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| 雑感

 公開日初日、レイトショーのIMAXで観て来ました。
 各々が各々なりのエヴァの終わりを胸に刻むべきであり、ネタバレは見ずに行くべきかと。


 さて、個人的な感想ですが。
 大人何てくそくらえだし、成熟何て反吐が出ますね。
 大人になんてなって欲しくなかったし、成熟もして欲しくなかった。
 それは自分のエゴではありますが、正直なところです。
 働け、土にまみれろ、子を育め。――そりゃあ、そうでしょう。正しい、全く正しい。
 生めよ育てよ無垢なる新たな子供は愛おしいという生命賛歌を唄うのも、実に正しい。
 ただそれを村での共同生活でレイそっくりさんが土にまみれて人の生き方を学ぶように、堂々と語られるのを観るのは非常に辛かった。あるいはゲンドウが最後の述懐するような孤独を恐れ人と人とがコミュニケーションする健全さを語られるのも、きつかった。
 そうじゃない、そうじゃないんだ。
 そういうのを観たいんじゃ、なかったんだ。

 
 そして僕は、シンアス派だったんですよね。
 はああああああああああああ。正直ゲロ吐きそうです。
 14年前のお子様の恋なんてとうの昔に終わってたんでしょうけど、終わらせて欲しくなかったんですよね。
 色々と目をそらしながら、ビデオカメラ向けられて顔を赤めるシーンでまあそうかーと観念して察したんですが、喪失感で死ぬかと思いました。
 ――あんたのこと好きだった。
 ――好きだと言ってくれてありがとう。僕も好きだった。
 ちゅうぶらりんになってしまっていた嘗ての初恋をきちんと終わらせたのは綺麗でしたし、相応しいパートナーが待っているのもそりゃ良かったんです。アスカはすっきりしたし、シンジもかつての自分が救われたしこれからアスカが幸せになっていくのも祝福できたし、言うことなし。成熟して、幸せになりそうで、良かったね。
 でも――そういうのを観たいんじゃ、なかったんだ。


 では総評はと言えば、エヴァのおしまいとしては非常に完成度が高かったです。100点満点の120点ぐらいですかね。
 すべてのエヴァにさよならを告げるように広げた風呂敷をきちんと畳み、リッチな映像と音楽を見せつけ、それでいてコンテムービーとか実写とか旧エヴァへの目配せもあって、全タイトルのコールバックも見せると、これでもかと言わんばかりに綺麗に完結させていました。
 14歳の少年少女をメインとし人と人との心の壁を上手く越えられなかったところから、大人になり成熟に至ったのも寿ぐべき成長です。
 これでエヴァンゲリオンは終わったのだと、そう納得する出来栄えではなったのは確かですし、それをどう取って、どう自分の中で落とし前をつけるのかは、個々人の問題になっていくのでしょう。
 ただ自分にとっては、満を持した上で成熟の一つの例としてあのような素朴な共同体への同化をもって描かれるのは耐え難いものがありました。


 最後に落穂拾い
 ・冬月さんは勝ち逃げでしたね。
 ・カヲル司令に?で笑いました。
 ・ミサトさんは色々ありましたが、最後に髪を解いてかつての髪形に戻ったのはぐっときました。


 以上。さようなら、エヴァンゲリオン。大人に――ありきたりな大人になろうとして欲しくなかったなあ。たとえそれが尊いものだとしても。