20世紀SF〈4〉1970年代―接続された女 感想まとめ

pub9920世紀SF4「接続された女」。+1。再読。ティプトリー作。いやーなサイバーパンクだけど、語り口がどうなんだろう。読者への呼びかけ方が"オタク"なのが落ち着かない。link
pub9920世紀SF4「デス博士の島その他の物語」読了。+1。文章の妙味と言うしかない。少年の視点に寄り添い、悲劇を悲劇ととらえないままに体験しながら、作中作を読むことになる体験が更に外の世界を形作る。メタメタだけど、語られる力が強いので興ざめにならない。ラスト1頁の極まり様は見事。link
pub9920世紀SF4「変革のとき」読了。-1。近未来の地球は女性のみで社会が形成されるようになっていたが、そこに男が戻ってきた――という内容。フェミニズムSF的には価値があり当時は衝撃を与えたよう。しかしこの程度で衝撃って当時のSF社会はどんだけ女性蔑視だったんだ。link
pub9920世紀SF4「アカシア種子文書の著者をめぐる考察・・・」読了。+1。アリ語の読解と書いたアリへの考察から始まり、ペンギン語の中でも優劣があり「エンペラーペンギンに注目すべし!」とアジって見たりと、動物言語学を創立し大ボラを吹いた良作。オチも無闇に壮大で面白い。link
pub99レムっぽいけど、レムより偏屈ではなく、読みやすい。link
pub9920世紀SF4「逆行の夏」読了。+1。ジョン・ヴァーリィ作。水星に住むぼくは月から来たクローンの姉を迎え、そして自らの出生の謎にたどり着いてしまう――。水星の異星描写は大変良い。水銀の池という魅力的な場所が豊かに描写されるし、壁がない居住空間も面白いlink
pub99また温度・酸素を管理する服は便利ガジェット過ぎるけどストーリーに関連するし、こうするしかなかったのだろう。そうした世界描写とガジェットの説明は読む価値があった。自分のルーツが判らなく、自分が何をしたいのかも判らないというモラトリアム的な悩みもSF描写の中でも強度があって良かったlink
pub99しかしストーリーはお粗末と巧みの狭間ぐらいにある。答えの開示は、たまたま起きた地震に巻き込まれてサバイバル状態になり、残り少ない酸素を分け合わなくならなくなったからお礼に教えてもらうことになったことで起こる。いやいやいや。安直過ぎますがなlink
pub99地震とか酸素とか服とか伏線は張ってるけど、何の努力もなく偶々というのは今までの風景描写の腕からしたら工夫が足りないのではないかなーと。ただし、偶発的だからこそ、受け止め方に困る少年――までもを計算に入れていたなら、まあ高いレベルでありかなとも思うし、どっちにするか判断は保留。link
pub99ただあの宗教はもっと考えようぜとしか。イーガンの万物理論の宗教と比べて・・・・・・あれ? そこまで変わらない。じゃあ、全然悪くないか。link
pub99うーん、叙情的な描写の力が発揮されているのだから、もっと優雅なストーリーにして欲しかったなーと思うのですよlink
pub9920世紀SF4「情けを分かつ者たちの館」読了。0。ノンヒューマンたちのカウンセリングを目的とした館と、そこを訪れた人造人間の物語。徹頭徹尾真面目だけど、風変わりだった。事故で人造人間に生まれ変わったことによる心的外傷後ストレス障害をどう癒すかというのがSF・・・なのかなあ。link
pub99ネタからオチまで何処か非現実的でありながら、堅実な運びはいい出来と言うしかないけど、概要だけではある。書きたい対象を語り切るには駆け足だったかなと。連作短編で読みたい所だったlink
pub9920世紀SF4「限りなき夏」読了。0。再読。少し奇妙な時間移動恋愛物。美女の双子×時間移動=神なのだけど、手つきがやや野暮ったい。古橋秀之の方がスタイリッシュに極めたlink
pub99前回はこんな感じ。あっれー褒めてる>http://t.co/thlNW5vylink
pub9920世紀SF4「洞察鏡奇譚」読了。0。ベイリー作。とある科学法則に従い居住空間の広さが一定の世界で、見果てぬ先を夢見て科学者がドリルで穴を掘りながら旅立つ、という内容。一つのルールにより世界が生成され、主要人物がルールの限界を求めて行動し、ひいてはルールが明確になっていった。link
pub99実にベイリー的な作品。ルールのためにややメタに傾くけど、そこらへんの小説の手口はけっこう微妙なのでダイブ割り引いてしまう。link
pub99なお読んでいてグレンラガンを思い出したりした。何もかもに反対されても穴を掘ったりするのが、俺が信じるお前を信じろみたいなlink
pub9920世紀SF4「空」読んだ。0。ラファティの作品。<空>というガジェットで、アッパーなドラッグを極めているようなテンションで駄法螺を吹いている。語り口は名調子で面白いlink
pub9920世紀SF4「あの飛行船をつかまえろ」読了。+1。息子に会いに来たドイツ人の老紳士は白昼夢を見た、それは一歩違えた歴史で――。これは良い出来。歴史の分岐点のパターンをミクロから俯瞰してしまった茫洋さが、語り手の姿が見えない一人称で見事に書いている。link
pub99アンチスチームパンク的になのも、ちょっと面白かったり。link
pub9920世紀SF4「七たび戒めん、人を殺めるなかれと」読了。+1。城壁に吊された死体の描写から始まるハードなファンタジー×SF。異文化を優雅な固有名詞によって語り、異文化間闘争を容赦ない筆致で語っている。めっぽう面白いlink
pub99でも、どうにもどんでん返しに至るガジェットが納得できない。そういうものだと言われても、どういう仕組みで伝染するのかが今ひとつ判らなかった。他の感想を漁ってみるかlink
pub99そんなわけで『20世紀SF4』読了。今回は飛び抜けて凄い作品は無かったかな。「逆行の夏」が少し抜けて、「デス博士の島その他の物語」「七たび戒めん、人を殺めるなかれと」「あの飛行船をつかまえろ」あたりが好きlink
20世紀SF〈4〉1970年代―接続された女 (河出文庫)
ジェイムズ・ジュニア ティプトリー アーシュラ・K. ル・グィン
河出書房新社
売り上げランキング: 300570