シン・ゴジラ 雑感

 7/29に公開され、滅茶苦茶評判が良いということだけ漏れ聞き、他に具体的な内容に関しては全く知らないで7/30に観てきました。
 ファーストインプレッションをごく単純に圧縮すれば、凄いものを観た、とだけなります。
 ストーリー上のネタバレは兎も角として、総監督・監督が詰め込んだギミックを未知のまま口を開けて観る体験を経ないのは勿体ないので、事前知識なしで観ることをお薦めします。


 そんな訳で以下取り止めがない雑感です。取り上げていない感想もあるので、もうちょっとまとめて描き直したいところ。




 シミュレーション物および怪獣映画として最高でした。


 シミュレーション――未知の大型生物の来襲への対応。役職による縦割りで、強烈な個による邁進はありえません。会議と根回しと法律と手続きと――あまりにも日常の延長線上の、非日常への対処でした。映し方も上手く、会議室の設営とか、深夜にそこらへんの椅子で寝ていたりとか、カップラーメンのゴミが散らかっているとか、猛烈に仕事をしているある意味普通の映像が活き活きとしていました。
 その上での自衛隊の総攻撃。総監督・監督とが手腕を存分に発揮したお見事な映像でした。あまりにも正しい攻撃と――何ら効果を発しなかったという正しい結果であり、だからこそゴジラへの絶望感と繋がっていました。
 後半の対ゴジラへの動きは上手くいきすぎて――にも関わらず死者・犠牲者は当然出しているのですが――、虚構度を上げていましたが国を挙げての一致団結はなんだかんだ言って燃えますね。
 クライマックスの新幹線特攻からの一連の流れはもともと高かったテンションが有頂天であり、どう反応すればよいのか脳がオーバーフローしていました。しかし、あれです。ゴジラの口に流し込む映像の脱力感と恐らく実際にあった場合の想像上の緊迫感といったら、ちょっと類を見なさすぎて、もう笑うしかなかったです。


 怪獣映画、あるいは特撮映画としてはほぼ文句なし。ゴジラというアイコンの魅力を存分に見せつけてくれます。
 最初の形態は、あれ? これ何? さ、魚?という感じなのですが、どんどん進化していくのにワクワクします。ついには水棲から地上行動に適応、ゴジラの立ち姿として完成し――そして流れるゴジラのテーマ。これに燃えずに、何に燃えるのか。
 あるいはビーム光線。吐くまでのガジェットがこれまたすっごい良い。それに東京が燃える、あのインパクトは本当に劇場版で観て良かった。
 ゴジラが東京をずたずたにしていく有様を俯瞰する映像もお見事でした。


 人物ドラマには期待はしないのでこんなものかなと観ていましたが、女優さん2人のキャラと演技は流石に鼻につきました。どちらも本筋にはあんまり関係ないキャラ付けなのも辛い。絵面を華やかにする効果はあるにはあったでしょうが……。なお関連集団の男女比周りは関わると面倒なのでパス。
 減点方式で観る人には辛いのかなと思いますが、まあ、そこはそれ。


 以上。劇場で観るべき傑作でした。

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 映画『シン・ゴジラ』公式サイト