狼は眠らない 1-8 雑感

 <黒穴>に飛び込んだ冒険者・レカンは異世界に辿り着いた。新たな剣と魔法の世界を己を鍛えて生き抜いていく――

 全8巻の長編ファンタジー
 無骨で殺伐とした冒険者を主人公とし、彼の冒険譚が綴られていきます。

 設定はなろう系統によくあるファンタジーのつくりであり、ゲーム的なシステム――スキルとかとかレベルアップとかダンジョンとかトレハンとか――を世界のルールとしています。
 文章もまた無骨な部類であり、修辞を綺麗にあやつっているわけではありません。
 なんというか、これが素晴らしいと一概には言えません。

 しかし自分がこれこそが冒険譚だと信じている王道をものの見事に突っ走っていってくれた在り方が本当に心地良かったのです。
 冒険者が冒険を通して成長していき、お宝や伴侶を得て、世界が巻き込まれる大戦争が起こり、最後はみなが喝采を浴びせる結婚式でフィナーレを迎える――
 これぞ僕が好きなものだと胸を張って言いたいものをこうまで小説として形にしてもらったのですから、ありがとうと言うしかありません。

 以上。まだまだこういう小説が好きだという作品に出会えるのだし、それのなんと幸せなことかと再確認しました。

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