太陽みたいな笑顔
完璧なパフォーマンス
まるで無敵に思える言動
吸い寄せられる天性の瞳
(【推しの子】3、kindle No.142)
――B小町のアイ、一世を風靡したアイドル。
活きの良いシリーズは展開が圧縮されて速くて強い面があると個人的に考えていますが、本シリーズはまさしくその通り。
アイドルのアイと、彼女を推していた人々の物語として非常に密度が濃い。
アイを主役とした数話が過ぎ、彼女の双子の幼少期をメインとして数話をこなし、そして双子が高校生となって兄が恋愛リアリティショーの出演をこなす。退屈する暇なく話は進んでいき、その間真偽を問わず、ショッキングなイベントが目白押し。
――推しの子への転生、しかも2人も。
――推しの死、しかも自分と同じ犯人によって。
何故、どうしてといったジェットコースター・サスペンスが一つの大きな駆動力となっています。
もう一つの力が、誰しもの目にスターの光が宿る時の熱量。
輝ける目をした時はポジティブにせよ、ネガティブにせよ、何か強い想いを抱くのです。芸能関係にまつわり、その想いの描き方が本当に上手い。
愛情/野望/希望/殺意。
その想いが灯って人が動いて行こうと変わった瞬間の切り取り、そしてそのキャラクタなりの行動原理をきちんと突き止めた行動の軌道、いずれも極めて精度の高い描写でした。
キャラクタも原作者の嗜好を持ってかなり立っていて、良い意味で色々と脅かされることが多いです。
特に3巻において恋愛リアリティショーに圧し潰されそうとした女優に関しては本当に呆気に取られました。
以上。今後も脅かし驚かしながら、どんどんとストーリーが展開されるのを楽しみにしています。
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