うたわれるものPSP 感想

 発売直後に買って、最近クリアしました。寝る前にちまちまやっていたとは言え、1年近くかかったことになります。いやはや。
 『うたわれるもの』は大好きなエロゲの一つであり、CD版を2回、DVD版を1回クリアしている程度にははまっています。といっても、ゲーム自体にはやりこむ要素がなく、架空戦記物のシナリオを楽しんでいたと言った方が正しいのかもしれませんが。それでPS2への移植の際に声が追加されたり、キャラクタとシナリオが追加されたと知って気になっていたために、PSPへの移植が発表された時には結構嬉しかったものです。
 そんな訳で以降の感想はPC版からの変更点をメインにしています。




 さて、何よりも驚いたのはラストの戦闘の変更でした。両腕を壊さないと本体にダメージが通らない仕様になっていたのです。ゴリ押しすれば楽に行けたPC版と異なり戦闘は厄介になって、だるいなあと少しだけげんなりしたのですが戦闘を続けるにつれて考えが変わっていきました。
 この変更は実はプレイヤの行動をとある目的に誘導しているんじゃないだろうか、と。そしてその目的をシナリオと戦闘エフェクトとのリンクを見せるためと取りました。
 ステージは変わらずに両腕の間であり、そこまで広い空間ではなく、キャラが密集することになります。そして腕はそれぞれ3マスくらいあり、ダメージは1マスごとに加算されます。なので範囲攻撃によって複数のマスを攻撃すると、その分ダメージは積み上がります。従って、PC版には無かった“協撃”がかなり有効となっています。なお協撃とはキャラクタ2人の位置取りなどの条件が整ったら、カットCGの挿入と決め台詞と共に行われる範囲攻撃です。この協撃の種類はキャラクタの組み合わせによって多々あります。
 繰り返すとラストのステージでは個人の連撃よりも範囲攻撃の方が有効であるため、迷わず使うことになりますし、積極的に狙っていくことになります。ここで協撃の台詞が効いてきました。ラスボス戦専用の台詞になっていて、それぞれのキャラクタの感情の発露になっているのです。これがどうしようもなく盛り上がりました。特にカルラの内面吐露は必聴ものです。
 例えばトウカとの協撃。

 あなたの邪魔はさせませんわ。

 という台詞。プレイされた方は知っているでしょうが、作品内でカルラはトウカの愚直な恋話に乗って、面白がって、煽り立てました。傍迷惑ではあるのですが、しかし決して間違ったことは教えませんでした。少なくとも愚直な同僚を彼女なりに幸せにしたのです。そうした幸せ――だった過去と交差した、“邪魔”をさせないという言葉は深いものがありました。
 或いは昔馴染みのウルトリィとの協撃。“私たち”――と自分を含めた言葉を放つ重さ、誇り高い彼女の自己言及の意味をプレイヤは知っています。
 他のキャラクタもそれぞれ重く、ほぼ必然的に全てのキャラクタの組み合わせで協撃を行うようにな仕向けられるために、聞き逃すことは殆どないでしょう。
 というような戦闘エフェクトによってラスボスを攻撃して倒すことがより盛り上がりました。………全くもって考え過ぎかもしれませんが。

 
 追加されたシナリオはどれも質が高かったです。特にウルトリィシナリオのラストは素晴らしかったです。涙腺が潤みましたし、実の所あまり好きになれなかったウルトリィシナリオが何年か越しに好きになれました。
 あとクロウシナリオは……クロウさんマジロリコンということで。


 以上。良質な移植でした。

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 OHP-『うたわれるもの PORTABLE』公式サイト