11eyes 感想

 的外れ上等という寛大な心をお供にどーぞ。







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 過去に色々と傷を持つ少年少女たちが突如として出現した赤い夜の中で敵と戦うバトル物。
 先行作は東京ドーム1万個分ほどあり、ジャーゴン・能力・舞台は全て型落ち品となっています。しかし見るも無残なコラージュとならなかったのは作品内テーマを明確にしなかったからでしょう。運命と出会う、成長する、復讐を遂げる、女と付き合うetcなど一言で片付けられない曖昧模糊とした本作のベクトルは作品外の諸々から読み取れる目的に実に沿っていました。
 諸々の1つ目は文章なのですが、徹頭徹尾でしゃばらない、ささやかな代物です。印象深い一文、心に残るシーンを作ろうとしないその在り方は、奈須きのこのようなトリップ感もなく、虚淵玄のような(仮初めの)現実感もありません。しかしプレイを途切らせないぐらいは読ませ、力足らずまでは行っていませんでした。
 2つ目は絵とエフェクト。絵は上手いんじゃないかというレベルにあり、エフェクトも綺麗に動きます。……ただし日常と戦闘準備までですが。戦闘そのものの画面上の動きはあんまりありません。言ってしまえば小手先だけの工夫でした。無理をしなかった、とも取れますが。
 結局、全ての面において高水準には程遠いにしても及第点はクリアしていました。それらを無難に組み上げさえすれば大きな傷がない水準以上の作品が出来る――恐らくそこらへんがこの作品の目的だと取りました。作りたいのではなく、売れる作品を作ろうとし、加えて成功させたのは好感が持てます。特にmoonsotoneの転進=Giftがトラウマとなっている身としては殊更そう感じました。
 




 ……9割9分の所までは。
 まさか最後の最後で全てを台無しにする超絶ギミックを炸裂させるとは夢にも思いませんでした。
 ゲームの文法として確立しているはずの不可思議な事態(たとえば視点人物の死や複数の一人称の確定した記述)の解決を何故か図ったのでしょうが、袋小路のぎりぎりの所に顔を押し付けるような、先のない代物でした。目的と乖離した不必要な問いは訳の判らない答えしか生みません。
 しかし、今まで的外れに褒めたのを忘れて得心しました。無難なゲーム内容とゲーム文法への挑戦というアンバランスさは、やっぱり3daysを作った会社です。
 


 以上。何について語っているんだという感想ですね。

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