二番目に好きな同士として密かに付き合う恋愛が破局的な結末を招いた高校時代を過ぎ、人間関係と場所を改めて大学生活を始めたのが前の巻。
気分一新はっちゃけようと着流しを着て下駄を履いて胡弓を奏でる主人公の姿は浮いてすべりまくっていたのはともかくとして、恋愛する気もなかった落ち込みから恋をせざるを得ないお年頃なので復活して、今度は純愛も純愛、一対一の恋愛をきちんと成し遂げようとして
―――見事に失敗していきます。
や、新しい彼女はできるのです。遠野という名字の美女で、すれてなくて、性格が良い可愛い彼女が自分を一途に慕ってきています。高校時代に結果として二股をかけて女性陣を狂わしてしまったあの桐島くんは今度こそはと彼女だけをと心に誓います。
が、ところがどっこい。
前の巻で純愛の環境が整えたうえで、この巻において、他の女が、過去の彼女”たち”が、桐島をぞくぞくとおそってきます。
なるほどこれが「わたし、二番目の彼女でいいから。」クオリティかという凄い速度で、ピュアな愛からかけはなれていき、にっちもさっちもならない愛欲の鎖でみんながんじがらになります。
「俺と宮前はときどき恋人になる。そして、そのことを遠野も了承している」
「なるほど」
浜波は肩をまわし、あ、あ、と声帯も整える。そして今日一番のテンションでいった。
「こ、こ、こ、この大バカ野郎~!!」
「いやいや、これには事情があるんだ」
俺は過去から学ぶ男であり、高校時代の失敗を繰り返すつもりはない。
(西条陽.わたし、二番目の彼女でいいから。6(電撃文庫)(p.47))
ページをめくるごとに主人公に対してこいつは~~~という行動が積み重なっていくのですが、まあそうなっても仕方がないよね・・・という出てくるヒロインたちの魅力が性的さも含めて十分ではあるのがこの作品のおそろしいところかと。
誰もかれもが成長して自分たちなりの大学生生活を成立させながら、恋愛においてはやばいくらいに割り切れない――こういう青春を横から観る楽しさはなにものにも替えがたい。その上で今カノに舐められながら元カノにも舐められる特殊シチュとか、ちょっと寝取らせ気分を味わえたり、もう好き勝手やってくれて、ありがとうございました。
しかしそれにしてもここから4巻ラストの台詞のルートに行くとするとやばすぎて震えますね。
以上。これからも破滅的な恋愛を楽しませてほしいものです。
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<既刊感想>
わたし、二番目の彼女でいいから。 1-4 雑感
わたし、二番目の彼女でいいから。5 雑感