バーナード嬢曰く。5 雑感

 読書ネタと読書家ネタと百合とを同時に高濃度で供給する作品としては、このシリーズがぶっちぎりのトップランナーです。
 毎回毎回読書しぐさで頷いたり笑わせられたり、神林と町田の関係性が深まっていくのをにやにやきゅんきゅんとしながら読んできました。
 今回も思う存分堪能しました。

 そらそうです。 
 初読でこれは俺のためにあるような本だと悟ってしまった時の、再読の恐怖とか。
 トンデモない傑作をリアルタイムで読んでいる時の座ってられない興奮とか。 
 壁に投げつけるようなトンデモミステリとしてまず薦めるのは当然『アレ』で、何も知らない高校の同級生に『アレ』を読ませてどういう反応するかわくわくしたい、とか。
 徹夜必死本の上巻を読ませて、下巻を思いっきり求めてくる快感とか。それで今風に電子書籍で購読された時のこやつめーという感覚とか。
 すごい、判る。
 これ以上なく心に合致するロジックとエモーションには心地良さしか感じえません。

 そして、百合――神林と町田の関係。
 はわわわわわ、尊い、と狼狽えながらこぼしたくなるようなやり取りに何度も殴られます。
 なんという、何というものを見させつけてくれるのか。

 私は
 彼女の返事をもう知っている (No 37)

 なにもかものタイプの異なる読書好きの女子高生の相互理解が深まっているのを、キャラクタらしいちょっとした素朴な台詞と、本好きならではの芝居かかったシチュと言動との、両方で表現しているのです。
 これぞ、こういうものを読みたかったのだという需要を心から掘り起こし続けられている気がします。 


 以上。好きなシリーズの好きな新刊でした。

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 <既作感想>
  バーナード嬢曰く。4 雑感