美少女万華鏡-呪われし伝説の少女- 感想

 本作は3000円弱の低価格帯の連作物の第一弾として発売されました。
 新進気鋭の怪奇小説家がオカルト的に曰く付きの取材先に赴くと蓮華という美少女に誘われ、万華鏡を覗き、不思議な物語に引き込まれていく――というのが連作の大まかな入れ籠になっています。一話一話がパッケージングされてこれから続けて発売されて行くのですが、結びつきが弱いために細切れな印象を与えず、どれからも手に取りやすい雰囲気を与えること、八宝備仁の美麗な絵を低価格で提供することで手に取らせやすいこと等々から、それなりにヒットすると思います。ただしあまり引き延ばすにはパンチの弱い企画なので、5話ぐらいが限度かなーと見ています。


 それでは第一弾の中身を見ていきましょう。
 シナリオは至って単純でした。女学生偏愛主義者のイケメン中年音楽教師が惚れ込んだ美少女は吸血鬼だった――というもの。オカルト的には吸血鬼の孤独がどうだったりするのですが、まあ割とウェートは低めです。ほぼ全編においてイケメン中年が変態ちっくに押したり圧したり出したり、時には引いたりして挽かれたりして、ツンでクールな美少女の外堀をぶっ壊していきます。
 この主人公たるイケメン中年が振り切ってない感じにイカレているのが、まずポイント高かったです。例えば意中の美少女に酷い目にあわされて曰く、

【滋比古】「キリエも全く薄情だ・・・・・・」
 しかし、私は非道な仕打ちにもめげることはなかった。
【滋比古】「フフフ・・・・・・キリエが使用した、紙ナプキンを頂いたのだからな・・・・・・」

 或いは美少女に無理矢理言うこと聞かせようとして弱点となる代物を誇らしげに掲げて曰く、

【滋比古】「ふふ・・・・・・世の中にはインターネットというものがあるのだよ、キリエ・・・・・・」

 或いは美少女を無理矢理縛って曰く、

【滋比古】「はぁ、はぁ・・・・・・驚いたかね・・・・・・こう見えても私は、大学時代ヨットを嗜んでいてね・・・ロープの扱いはお手の物なのだ・・・・・・」

 とまあ、「のだ」「のだ」と大変、五月蠅バカいのです。加えてアルマーニのパンツの下で勃起していた!とかうざいのですよ。
 ただしこれでいつ何時であろうと突き抜けた変態だったとしたら、コメディ的によくある変態無敵物になるのですが、突き抜け切れていないのが心にしみます。彼の女のことは自分の身を全て捧げるけど犬死にはしたくない――という想いが、彼を時にへたれさせます。なので序盤はおいおいと言いたくなる、自分勝手な論理が赤裸々に語られることになります。・・・・・・だからこそ、最後の最後の決断が活きるのですが。
 それはともかくもそんなうっとうしい彼に対してヒロインが最初は本気で嫌がっているんだろうという雰囲気を出しているので、ツンから極端なデレへの唐突な転換に違和感を覚えるかもしれません。しかしイイ感じにエロいから、展開の唐突さはどうでもいいんじゃないかなと。
 外堀を壊されまくって、ツンでクールな美少女がメロメロになりながら、性的に攻めたり、性的に攻められたりするのって、良いですよね。あれ今って 「だいしゅき」とかアヘりながら言うタイミングだっけと疑問に思うのも野暮な物です。ツッコンで、ツッコまれるのを是としたなら、後は彼と彼女は爛れていくだけかと。
 

 絵は言わずもがな。八宝備仁の絵が気に食わない・生理的に合わない方以外は満遍なくお勧めできるハイクオリティのエロさでした。そしてエロシーンでは美麗なエロ絵に不自然にならないモーションアニメを使われています。そこは好き嫌いですが、個人的には悪くなかったと思います。
 エロのシチュエーションもスク水脇コキなどなどマイルドにフェチで、縛ったり叩いたりもマイルドなSM的であり、万人受けしやすい範囲内でした。


 音楽は雰囲気出ていました。BGMにも力が入っていたとも感じます。そのために印象深くなっていたシーンが一つ。
 人たる彼が、何百年生きてパリにも住んでいた彼女に捧げた、ピアノの音色。それを聞いた吸血鬼はこう言います。

【キリエ】「・・・・・・何、この曲は? 聴いたことがないけれど・・・・・・」

 その意味する所を、彼は知るのだろうか――


 以上。エロさのコストパフォーマンスが最高でした。次も八宝備仁の美麗絵&それなりのクオリティのエロ重視のシナリオを期待しています。

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