安達としまむらシリーズの最新作。8巻において掉尾としての海外旅行を書き、10巻においてしまむらが安達と2人暮らしをするために家を出る際の感慨の乏しさと未来への想いを記してきました。
そしてこの11巻では、しまむらがこれまで置いてきた人間関係を短編として取り上げていきます。
人間関係――過去にその時は大事だった筈のひとびと。
樽見。小学生のときは本当に、これからも毎日顔を見て生きていく友達だと思っていた。でも中学生になってクラスが分かれて、それからなんとなく疎遠になっていった。
(入間人間.安達としまむら11(電撃文庫)(p.91))
心臓を取り巻く未知の感覚が、わたしを静かに極上な気分に仕立て上げる。
浮かび上がる泡をそっと突っついて弾けさせるような、落ち着いた高揚というこの矛盾。
その正体はひょっとして。
まさか。
……初恋?
(入間人間.安達としまむら11(電撃文庫)(p.112))
しまむらがただひとりのと選ばなかった/選べなかった出会いを語ることで、しまむらの安達へのこうなんというかまあ言ってしまえば、愛が確かに伝わってくるのです。
過去の巻で実家が自分の居場所だともう思えず彼女といる場所が居場所なのだと知らしめたし、しまむらはこうして人としても場所としてもただひとりの比翼として安達を選んだんだ、と。
ひょうひょうと愛が重いのですが、それが良い。
あとはもう大いにいちゃつくといいという感じで、今回もイチャイチャパートも至高でありました。
ふたりどおしでしたいこと――えっちぃ問答のむずがゆさの凄まじさよ。
以上。次が最終巻とのこと。ちょっと悲しいですが、読める日を楽しみにしたいと思います。
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