中2の少年・佑は映画好きのお隣のお姉さんをわかりたいがために無理を言って毎週水曜日に一緒に映画を観るようになった。画面を見つめる彼女はなにを考えているのだろうか――
中2男子が高2女子に熱を上げる年の差ラブコメの第3巻。
『好きな子がめがねを忘れた』が互いに好意を自覚して絶好調な上で、本シリーズでもまたラブコメの強い嵐が吹き荒れ始めます。
主人公の少年があまりにも素直で自己肯定が強いのですが、その主人公を上手く扱うことで悶絶するシーンが続出するのです。
お隣のお姉さんがわからない、それは映画の知識の差だろうか、年の差だろうか、経験の差だろうか、それは埋まるのだろうか、わかる日がくるのだろうか、わかりたい――そんな彼の視点でこれまでの物語は基本的に進んできました。
年下から観た高校生への戸惑いや憧れの感情にシンクロしてきたのですが、だんだんと主人公が圧の強さが変わらないまま人間として成長していき、高校生がなんというか恋愛的にというか人間関係的に負けつつあるようになります。
少年からことあるごとのストレートな好意と裏のない行動への、なんなんだこいつは――という惑いがにじみ出るのが実ににやにやできます。
例えば自分を慕っている少年が彼の同級生と映画を観るーー自分をさしおいてーーと知った隣のお姉さん曰く、
(3巻、kindle No.10)
もうなに考えているのか丸わかりになってしまっていて。
あるいは一緒にカラオケに行ったり、初めて映画の脚本を見せた反応だったり、こやつガードが下りているなあと。
そして、攻撃ターンに入っているとはとうてい思ってない少年はとうとう何度目になるかわからない飾らない言葉をぶっこみます。
心愛さんは、自意識過剰です・・・(3巻、kindle No.131)
爆笑するしかないぶっこみしてから、そこから交わす言葉の尊さよ。
ああ、良いなあ、この作者の作品を、このシリーズを好きだなあとしみじみ感じ入りました。
以上。ラブコメとして傑作。大好き。
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<既刊感想>
隣のお姉さんが好き 1-2 雑感