シロナガス島への帰還 雑感

 ニューヨークの私立探偵・池田戦は大富豪の遺族の依頼でシロナガス島に代理人として赴く。招かれただけで大富豪に死を選ばせた理由は、シロナガス島の悪魔の伝説とは、そして島で連続して起きた殺人事件の犯人は――

 画面をクリックして情報を収集したり、ガジェットを動かす操作・推理パートがあるタイプのミステリADVです。
 本編とEXTRA合わせてプレイ時間は6時間くらいでした。

 作風はホラー寄りで、ストレートにB級で楽しかったです。
 ここらは愕かすところかなというところできちんと愕かせてくれました。ハイドアンドシークとしてロッカーの中に隠れれば隙間から怪物が覗いてくるし、モンスターとの戦いではエレベーターの天井の上からざくざく刃で刺してくるのを狭い範囲で逃げ惑うし、ゾンビには襲われるは、窓があればああっ!窓に!窓にっ!!!
 絵はデフォルメが利いていて漫画ちっくだったのが良い意味で恐怖と衝撃をマイルドにしていました。真に迫ったリアル寄りでしたら、たぶん怖さと生理的な嫌さが5割増しになっていてプレイ継続に差し障りになったかもしれません。ゴアとスプラッタは程々でいいんですよ、程々で(個人的な感想です)。

 ミステリとしては、矢継ぎ早に事件やイベントが起きて選択を間違えると物理的とホラー的に割かしサクッと死ぬのでサスペンス性が高かったですし、根幹のホラーと関連する大ネタから地味な仕掛けまで無理筋はあれど飽きさせられることはありませんでした。
 トリックの発想だけではなく、ゲームとしてのギミックも良く出来ていました。犯人を指摘して明らかになってから、まったく別の目的で動機とトリックとを探偵の助手役がとある方法で追体験することになるのですが、その絵になる追体験によって物語としての感動が増加される効果が発揮されていました。理想的な絵解きだったと思います。最後の最後の助けを呼ぶ一枚絵の決まり具合もそうですが、絵になるシーンを想像してきちんと描写出来るというのは褒め称えたい美点です。
 またクリックする操作・推理パートで一番盛り上がったのは爆弾の解体でした。単純に赤と青の線を切るだけ――それもあるのですが――ではなく、温度や振動のセンサーなどそういう仕掛けがあるんだと全然詳しくないので感心しました。


 さて最後に――そして個人的に好感度が爆上がりした点について。
 ミステリADVのおまけシナリオはトンチキであるべきだと古来から決まっているのですが、本作のEXTRAのはっちゃけ具合は最高でした。
 生き残った主要人物たちがバカンスに出掛けようとして遭難するのですが、そこで繰り広げられるバカ話はほんと爆笑しました。
 あとはまあ、出てくる水着姿が神掛かっていましたね、ええ。

 

 肋骨! 腹斜筋!! いやっふー。


 以上。ミステリADVとして楽しめました。肩肘張らずにプレイするのをお薦め。

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 HP-シロナガス島への帰還