寡聞ながら本作は題名は知っていたぐらいでどういった作風なのか知りませんでした。
しかし増田の『少女終末旅行は、やわらかBLAMEだった』という記事を読んで興味を持ち、たまたまamazonのkindleで安売りをしていたので購読しました。
一読して仰け反りました。
なんで私は今までこの作品を読んでこなかったのか!
終わった世界を2人の少女が旅をする、ただそれだけを読む快楽に酔いました。
終わった世界の残滓――朽ちた巨大建造物、放棄されたガジェット、そして極々偶にすれ違う人々。
巨大建造物は一部機能を保持していることが多いですが、新生することはありません。
棄てられたガジェットは作られた目的を推測することで見つけた少女らを楽しませますが、再生産されることはありません。
人々は終わりを受け入れ、人類社会を復興することはありません。
2人の少女/チトとユーリはそれらの残滓の合間を軽やかに駆けていきます。物理的に道に迷いながら、食べ物の配分でいがみながら、旧くて新しい発見に心を躍らせながら。
例えば雨天に木の下で雨宿りし世界の終わりの静寂に気づく――とか素敵過ぎてロマン回路がやば過ぎました。
そうしてほぼほぼ嬉しがって読んでいたのですが、うひょう!と殊更興奮したのは3巻21話『螺旋』。
題名通り、車で螺旋の塔を只管登っていく話です。
本当にただそれだけ。
巨大な塔と、登っていく過程の若干の波乱のみ。
これよ、これ、という感じ。
参りました。
以上。完結するまで追っかけていく新しいシリーズに出会えました。まだまだこの世には自分の知らない面白い物語が転がっていると思うとわくわくしますね。
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