ジャンゴ 繋がれざる者 雑感

 評判が良いので観たのですが期待以上に良かったです。
 タランティーノマカロニウエスタンと言うことで、まずバイオレンスさを堪能しました。撃たれたリアクションで人体や物品が破壊され、重い効果音が響く――という基本を忠実かつ誇大に画面にしており、結果として銃の破壊力が如実に伝わって来るようになっていました。お腹にがっつり来ましたね。
 ストーリーも明快で痛快な復讐劇であり、引っかかるところはありませんでした。「Django、D is silent」といった名乗りの格好良さとか、マカロニウエスタンのお約束に沿って展開しておりにやにや楽しめます。
 復讐がマクロ<奴隷制>とミクロ<ジャンゴ>両方から見てのカタルシスになっているとかありますが、そこまで気にしなくてもいいんじゃないですかね。


 そして何より、フェチぃ絵の作りに大満足でした。最初のあたりで、買われると決められた黒人奴隷のジャンゴが今まで羽織っていた毛布を肩で撥ねのけるシーンが出てきます。
 ※予告編36秒当たり
 黒い夜を背景に露わになる鞭の痕と広い背中――画面で見てヤラレれてしまう映像であり、以降はもう遣られっぱなしでした。
 ビールを零れるほどついでヘラで液面をなめしたり、夜営で手鍋からガツガツ食ったり、焚き火を前に岩山へ影を作りながらドイツの神話を語ったり、何これ何これと心中で興奮しまくりでした。
 強いて形容してしまえば官能的、俗に言えば萌え。
 あれぞ映画を観る快楽でした。


 俳優陣も皆嵌まっており、主役の賞金稼ぎコンビも良かったのですが、悪役のディカプリオとサミュエル・L・ジャクソンの2人がとりわけ素晴らしかった。
 ディカプリオは享楽的な農園の主人をやるのですが、当時において普遍的であるからこそ現代から見ると"社会の悪"であるという役を"枠から外れず"にやりきっていました。ジャクソンは白人に迎合する黒人というわかりやす過ぎて不快な役にはまり切っていました。
 この悪役コンビは2人が会話するシーンなど見るとジャクソンが食っていたと評価できなくもないですが、作品内において迎合した黒人が一般的な白人に寄生する主従関係だと取れなくもありません。どちらも上手かったでいい気がしました。


 以上、大層面白かったです。タランティーノ作品ではパルプフィクションの次に好きな作品になりました。

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OHP-ジャンゴ 繋がれざる者 - オフィシャルサイト

ジャンゴ 繋がれざる者~オリジナル・サウンドトラック
サントラ リック・ロス サミュエル・L.ジャクソン エリーザ・トッフォリ ジェームス・ブラウン ジョン・レジェンド ブラザー・デジ ジェームズ・ルッソ アンニーバレ・エ・イ・カントーリ・モデルニ ルイス・バカロフ
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