劇場版なのはの3作目。前もって告知されていた通り、前後編の前篇でした。かなり良い所でばしっと切られます。
なのでこれ単体で作品を物語として評価するというのはかなり難しいかと。
興味を引かれた/気になった点を幾つか述べてみます。
- 舞台挨拶ライブビューイング
最初に撮り上げるのがこれかという感じですが、正直今回の視聴で触れたコンテンツで一番楽しかったです。
実はこういう舞台挨拶を観るのは初めてだったのですが、素朴にトーク上手いなあと感心してしまいました。水樹さんの慣れた態度とコメントも力強くて良かったのですが、浴衣で揃えてきたヴォルケン一家の掛け合いは笑かしてもらいました。
特に柚木さんが素晴らしい。可愛かったし、自然に盛り上げる喋りで場を温めますし、叫ぶ方にテンション上げながら不快にさせない品がありました。うたわれるものラジオでもそうでしたが、かなり良い人なんじゃないかなと推測します。
お姫様は……、門外漢なのですが、元からああいうキャラなのでしょうか? 木で鼻を括る、テンションに波がたたない態度はちょっとびっくりしました。ヴォルケン一家で盛り上がりましたが、彼らがいなかったらかなりお寒くなっていた可能性があります。
- マテリアルズ
PSPゲームからの参戦。誰もがキャラが立っていました。
ディアーチェは中二病の権化みたいな振る舞いがちょうツボでしたし、部下を気にかける度量の広い王様っぷりは変わらずで良かったです。シュテルのくそ真面目っぷりと、レヴィの馬鹿可愛さも好感が持てました。
- 映像
かなり派手なバトルや変身シーンは満足がいきました。
ただちょいちょい、なのはの顔のアップが微妙だったような。好みの問題かもしれませんが、あれっと首を捻ってしまいました
- 戦闘
溢れる異種格闘戦らしさが興味深かったです。
異なるルールの戦闘になると、相手の強みによって敗北。次はその相手の長所を取り込み、同じ土台に立って質と量でぶん殴る。
――というのがこれまでのシリーズでルーチンとして起こってきた戦闘イベントです。
この新たなルールに毎回出会うというのは、なのはという少女が経てきた新たな戦闘の境地へと駆り立てる苦難の連続でもありました。
1stでは一般人として魔法使いのルールを知り、魔法使いの土俵でフェイトとの勝負へ。
Asでは一般的なミットチルダの魔法使いとしてカートリッジシステムのベルカ式に出力で敗れ、カートリッジシステムを導入することでヴォルケンリッターひいては闇の書の闇と勝負の舞台へ。
そして今回。ヴァリアントユニットという魔法により拡張された物理力をも兼ね備えた敵と、魔力=生命力を奪うという魔法使いには天敵に出会います。当然のようになのはらは敗れ去ります――最初は。次いでは、これまでのように、無理やりカートリッジシステムを導入して出力を上げたように、強引にヴァリアントユニットを導入していきます。ここでこの物語は一旦中途の幕が引かれるのですが、――恐らくは彼女の勝利で最後を迎えることでしょう。
なのはは新しい力を手に入れて、強くなることを半ば強いられてきましたし、彼女も自身に強いてきました。
なにせ彼女の行動原理は新たなルールの担い手を異なるものとして排除出来ません。
困った人を助けるために会話しよう――という際限のない目的。
ならば全く別のルールを持つ人が困っていたら、それを理解するには新たなルールを理解するしかなく。それまでのルールの上に新たなルールを繋ぐ歪みを抑え込んでしまえるような、類希な収束魔法の使い手として最終的には勝利の地に立ち続けます。
それは地獄へ辿り着く道でも、きっとあって。
アリサがなのはの性格、無茶をしてでも闘い続ける、無茶を道理として飲み込んでしまう、意に沿わないイマを茫洋とした目で見すえる様を心配しているのもむべなるかなと。
困った人を助けるために会話しよう――という終わりのない目的が逆に闘い続けて勝利し続けることでしか解決できない以上、なのはは新たな困難に会うたびに新たな力を手に入れざるを得ないでしょう。
――止まるのは否応なし。成長の歯止めが何らかの理由で訪れるまで――という訳で。
化物が立ちどまるターニングポイントである中学生編は重要という話でした。
- ストーリー
絶対裏切られると予測して観ていました。恐らく観ている人ほぼ全員そう考えていたでしょう。
さて、初っ端といきなり矛盾しますが、個人的にはあまり手放しには褒められないかなと。
しょうがないし、後編できっと上手く処理してくれるんでしょうが、最後で唐突に出てくる少女に目が飛び出ました。
誰、君?
や、顔出しで終わればいいんですが、少しでも動かされると混乱のせいで置いてけぼりにされてしまいました。あれを処理するなら、星が滅んだ理由が環境要因だけではなかったという伏線が要ると思うのだけれども、ありましたっけ?
- フェイト
「わたしはこれまで一人だったことはないよ」
リンディさんとのイベントは素直に感動しました。
それにしてもAsでのアリシアとの再会と言い、ザ・主人公と言いたくなるぐらいに優遇されています。
ふと考えると劇場版になのはに血の通ったイベントってありましたっけ……? いや気にしたら負けですね、ええ。
- まとめ
読み返すとなんか貶しが多いですが、観ている時は楽しんでいた気がします。
ただ1stやAsは2回劇場で観ましたが、これはもう1回観る気には到底なれません。
以上。後編にも期待しています。
- Link
OHP-魔法少女リリカルなのは Reflection 公式サイト
魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st 雑感 - ここにいないのは