フォトカノ kiss 雑感

 フォト部あるいは写真部に入り、写真を撮りながら美少女ヒロインと仲良くなっていく恋愛SLG
 シナリオは特に見るべきところはなく、メインでもありません。


 "美少女ヒロインの写真を撮る"。
 ただその一点に関してこのゲームはほぼ極限まで磨き上げていました。
 美少女のモデリングは当然魅力に溢れ、加えて3Dであり、ある程度自由に前後左右・高低を変更して写真を撮ることが出来ます。
 そして写真を撮れば撮るほど自由度が上がっていき、撮影対象であるヒロインへの指示も柔軟になります。
 その仕様はPSPの段階で写真撮影シミュとしてほぼほぼできあがっていたのですが、PSVITAに移植されることで完成形を迎えたと言っても過言ではありません。
 VITAのジャイロセンサーにより手に持つ機械の角度が画面に反映されます。それは写真撮影機能と非常に相性がいいのは想像に難くないでしょう。このジャイロモードにより、より細かい角度を調節でき、より意に沿った写真を撮れるようになりました。


 さて、とある名手が書いた推理小説の短編に、夭折したアイドルの映画を表したこのような一節があります。

 確かに「残月の曲」は加茂珠洲子の魅力を十二分に描き出していた。長い真っすぐな髪の、やや青味を帯びた色も、正しい色で撮影されていたし、特徴のある小さな耳も、いい角度でクローズアップされたシーンがあった。淑子はそれを撮影したのは、週刊誌に書かれた東欧映画の助監督に違いないと思った。りんこの美しさをよく知り、より美しく表現出来るのは、りんこの愛人を置いてはいないはずだった。
                (亜愛一郎の転倒所収『珠洲子の装い』)

 畢竟、ヒロインの魅力をより強く表現するのは3Dモデリングも、性格付けも、声も、台詞も大事ですが、最後の最後で完成させるのはプレイヤの写真ということになります。
 写真撮影――このより美しい姿を残そうという努力が本当に楽しい行為でした。







 角度を熟考し、表情・視線を思案し。




 あるいは服装を変えてみるのも一興。

 ・・・・・・偶にちょっとローアングルも。
 どれだけ撮っても撮っても足りないですし、会心の一枚を撮れた時の快感は他のゲームでは得られないカタルシスです。


 これを9人なのです。気に入らないキャラも何人かは生じるでしょうが、それでも複数のヒロインに対して写真を延々と撮る行為に没頭するとあっという間に時間が経過します。
 そしてエンディングを迎えて強制的な締めがないためキリは自分でつけるしかありません。
 このボリュームとゲームシステムにより、美少女との空間・時間が終わらない錯覚に陥ることが出来ます。その錯覚はゲームを気に行ったのならばプレイヤにとって福音でしかないでしょう。


 ――ところで何故生徒会長の写真だけかと言えば、端的に凄い気にいったからです。
 生真面目キャラが好感度が上がるにつれ、ぐだぐだと写真に撮られるのを許可するようになるような落とす過程にによによしました。


 以上。楽しかったです。ヒロインの写真を撮る行為を楽しめるなら間違いなくお薦め。

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