こんな娘がいたら僕はもう…!!  感想

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 学園中から厭われている学生がふとしたことでヒロイン達と仲良くなっていくというADV。
 学園の集団心理がシナリオに都合の良いように付和雷同過ぎで、エンディングの入れ方と締め方が最低、という具合に読後感を悪くする要素に欠くことはありませんでした。けれどヒロインの魅力がある為、総じて見ると佳作として評価できると思います。
 以下各ヒロイン毎に少々コメントしてみます。


 綾菜。大ネタの体育祭イベントは微妙で、子供の頃の思い出に関しても蛇足ですし、冷静に考えると不出来なシナリオです。が、綾菜の人懐っこい性格と主人公に対して好感度MAXという行動が心地良いので、そんなシナリオ上の欠点は気になりませんでした。プレイ中でも騙されればそれで十分です。なお子供時代の性格のまま育ったifルート希望。


 真帆。部活の不完全燃焼のわだかまりだけはよく出ていました。他全て、具体的には真帆の全ての行動・思考と、最後の問題の解決法と結果(結局の所自分に責任がくるから転換)が見るに耐えなかったですが、枝葉末節ということにしておきます。むしろ野球の小ネタのチョイスがいまいちだったのが大きな減点でした。


 あすか。初期の余裕のない態度・泣き虫っぷりに和み、付き合ってからの駄目ぶりに笑い、シナリオ通して楽しめました。芳宏との関係の処理はもう少しなんとかならなかったのかと思いますが、あんなものでしょう。


 志乃。大金持ちのお姫様やお嬢様がヒロインはありふれているのですが、貧乏人から金持ちの娘に成り上がったヒロインは初見であり、興味深いシナリオでした。徐々にヒロインが主人公にとって歪んでいき、立場に相応しい性格・格好に矯正される寸前の不安定な時期になった時に、主人公の都合のいいように落とす、という流れも極悪で素敵でした。終わりが唐突なので、もう少し踏み込んだ先に触れて欲しかったですが、現段階でも破壊力十分でしょう。個人的には矯正された性格のまま両親が破産し、再び元の境遇に戻り、そこで醜態をさらすところまでやってくれると大喜びでしたが。


 沙希。キャラ立て要素が羅列されるわりキャラクタは確立していません。けれども後半空気になりますので、そこまで気にすることではありませんでした(何か違いますが)。話自体は主人公の再生を描くものとして悪くない程度なのですが、最後の総懺悔が気色悪くて色々と台無しでした。


 渚。沙希のビスケットイベントなどで笑いをちりばめつつ、徐々に仲良くなっていくという真っ当な恋愛ルートかと初めて期待したのですが、思いっきり外れました。最後があっけな過ぎ。以後の展開を考えられなかったから止めたととっていいのでしょうかね。

 
 ハーレムルート。とは名ばかりで2人1組を勝手に組まれ、短いなおざりな3Pで終止する好い加減なつくりでした。お遊び程度です。

 
 ススム。ヒロインではなく猫なのですが、あまりにも輝いていた脇役なので触れないわけには行きません。ヒロインの各ルートでは美味しい所で印象的な台詞を吐き、

 「我輩が聞いているのは不条理な二択」
 「答えたからってどうなるものでもないのだ」

 日常では主人公とのバカなやり取りで笑わせてくれるという、このゲームの美味しい所を掻っ攫う活躍でした。
 また別れのシーンでは今までのバカがあったからこそ余計にしんみりとしました。最後は直接会話しないのも効果的でした。

 「……なんだか、寂しいのだ」 

 以上。シナリオの重要な所全てに満ちている幼稚さに眼を瞑り、ヒロインの可愛さだけ見ればそこそこの作品です。

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 あかべぇそふとつぅ