魔法使いの嫁1-6 雑感

 内包する魔力により魔法使いや妖精など神秘を引き付ける"夜の愛し仔"。その性質によって一人ぼっちになり、競売に出された羽鳥チセは魔法使いに買い取られ、彼の弟子兼嫁として共に暮らしていくことになった――


 と言う感じのローファンタジーのコミック。評判が良いのは知っていましたが、6巻まで刊行されてようよう手をつけた次第です。
 そして一読してびっくり。途方もなく芳醇な作品でした。
 世界に息づく神秘を想像するイマジネーションが抜群でした。妖精が舞い竜が飛に神々が歩む世界と、輪郭の端の方から徐々に失いゆく移ろい――それらを豊かな創造力に従い絵として実を結び描きこむ手腕が素晴らしい。
 世界と神秘を厳かに描くだけではなく、人間および人外キャラの描写も高度なものであり、主人公のチセを筆頭にめっちゃ愛くるしいです。
(2巻より)
(1巻より)
 序盤で好きなシーンを引用してみましたが、こう、どのページを見開いてもキュートでクールな世界を目にすることが出来るのは幸せな読書といえましょう。
 

 あとストーリーは人外と人間との交流を基本描いているのですが、時には手に汗にぎらせる緊迫感、時には世界の片隅で緩やかに時が流れるのを密やかに記し、時には胸がきゅんきゅんする恋物語未満を語るというように飽きさせません。
 何よりも人外とのじれったい恋愛が好きなら、ちょっとこれ以上のものはなかなか思い浮かばないのではというレベル。
(6巻)
 このシーンに身悶えしたというか、幸福度合いが天元突破してちょっと興奮しすぎるくらいに興奮しました。 ああ、なんて素晴らしい。


 以上。傑作であり、お薦め。これからまっさらに読める人がうらやましい限りです。

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