キミのとなりで恋してる! 雑感

 本作のシナリオライタはおるごぅるではなく、おぅんごぅる。
 これまでの作品の特徴としては胸焼けするイチャラブエロが多いことと、物語の根幹に妹が強く関わることと、スポーツ物としての厚みがあること、などが上げられるでしょうか。
 本作でもそれらは思う存分発揮されていました。
 ストーリーを簡単にまとめると、陸上部のマネージャーの主人公が2人の幼馴染や突然現れた許婚と恋に落ちる恋愛物となります。その枠組みの中で、恋に落ちてからはけっこう濃いエロ成分多目のイチャラブが展開され、妹関連をどうにかしないと主人公は望む方向に踏み出せず、今はランナーに専念できていない主人公が学生最高の陸上ランナーを遠くに臨み、彼の人の走りにわくわくした上でどう向き合うかが熱いことになっているという感じにスポーツ物としても上々の代物になっています。
 そのようにそれぞれの要素の出来が良い上に、高いレベルで組み合わされており、プレイに没頭でき、終了した際には非常に爽やかな気分になれました。
 ヒロインは3人と少なめですが、その分1人1人が濃ゆかったのでボリュームは少ないとは思いませんでした。ミドルプライスとして十分かと。
 それではヒロイン毎に感想を述べていきましょう。上げた順番が推奨攻略順でもあります。

  • 知花涼香

 主人公の許婚。
 もともとは別の学院に所属していた日本有数の長距離ランナーなのですが、主人公のために転校してきます。
 ランナーとしてストイックであり、性格も凛としていて思慮深いのですが、恋愛するとその像がぐだぐだに崩れて何でも受け入れる甘やかしお姉さんになって行きます。ルート内で巻き起こる、恋愛対象にしか見せない/見せられない甘ったるい変貌は非常に魅力的なものでした。一見綺麗に完成していた人物が併せ持っていた2面性を暴くのって良いですよね。そしてきっかけとなったのがど直球な『一目ぼれ』というのも面白い所ですし、一目惚れの成立と成就を上手く書いていると思います。


 イチャラブエロのコンセプトは『抱擁』、そして『早漏』。
 何のことやらと言う感じですが、このルートで主人公は暴発を繰り返す早漏野郎と化しています。お風呂で洗われては放ち、挿れようとして放ち、挿れて放ち、ちょっと動かして放ちと、堪えという単語をどこかに置き忘れた速さと人間離れした回復力とを兼ね備えがんがんぶっ放します。
 そしてヒロインはむっちゃくっちゃ嬉しそうに早漏を受け入れます。主人公が早漏を披露するたびに非常に幸福そうにする様はもうどこぞの女神様と言いたくなる在り方でした。時々わざとちょっと詰ってもらうエロシーンの多幸感はヘブンでした。
 なお、どのルートでも共通するのですが、シーン回想に含まれない日常の性行為もというか、それこそが必見です。最初は風呂で洗われて顔にぶっ放すのに主人公は申し訳ないと思うのですが、何度もシナリオ上で繰り返され、繰り返しヒロインの顔が汚され、汚される回数が増えるごとによくある日常と化していきます。
 そういう日常での性行為に忌避感がないのもイチャラブエロ物の醍醐味と思うので、本作で存分に味わえて嬉しい限りでした。

  • 小松莉奈

 主人公の幼馴染パート1。
 さばさばした性格だけど思いやり深く、主人公と星野なぎさとの3人組のバランサーとなっているキャラクタ。
 付き合いが長すぎて隣にいるのが当たり前になってしまった男女がどう恋愛関係になるのかとか、恋愛関係になった後改まって恋人として振る舞えるのかとか、王道の幼馴染物でした。 本ルートでは三角関係はさらっと流されますし、幼馴染との恋愛に純粋に浸れます。クライマックスの進路に悩むあたりはちょっとありきたりなのが難点ではありましたが、悪くない出来でしょう。


 イチャラブエロのコンセプトは『失神』。
 最初のキスシーンで、キスだけで失神してレイプ目を晒した時には何事かとびっくりしました。その後も折りに触れて失神していきますし、ぐるぐるレイプ目に達します。おいおいと思うものの、ライトに支配的で良いんじゃないでしょうか。
 これまたシーン登録されないのですが、何気ない流れでレイプ目に追い込む日常がエロいのでたまに見返したいですね。

  • 星野なぎさ

 主人公の幼馴染パート2。
 素直で純朴なヒロインとのピュアな恋愛をにやにやtp楽しめました。
 なおなぎさは涼香とは主人公を巡る恋敵としてと陸上ランナーとして対になり、莉奈とは恋敵として対になります。2者択一でどちらのヒロインを選択するか迫られ、選び続けないと彼女のルートに辿り着けません。また本ルートの最後で妹ときちんと向き合い、主人公の陸上との向き合い方も割と正史に近い形に落ち着きます。なので、多分このヒロインを最後に持ってくると物語が綺麗に締まると思うのでお薦めです。
 

 イチャラブエロのコンセプトは『素直』、そして『尿』。……うん、それで多分間違ってはない、かと。
 両親の性行為を見まくってそういうことを忌避していたけど、一度受け入れてしまえば素直にエロ行為を楽しむようになるあたりの流れが良いんですが、ちょっと度量が大きいというか、常識が壊れていて排尿の姿を見せるのが夫婦だとか、尿を呑むのが好きになるとか、どこでもしてあげたいと考えるとか、頭大丈夫かしらんというぐらいに爛れていきます。それはそれでエロいので良いのですが。

  • まとめ

 絵は普通に良かったです。
 音楽は特に言うことなし。
 システムは問題ありませんでした。
 おまけに『プロフィール』という項目があり、そこでキャラクタの紹介とか、その後の来歴が書かれるのも、いつものおるごぅる作品らしかったですね。さらっと起こったことだけが書かれるので、星野なぎさが年を重ねてどのようなランナーに育ったのかとか、知花涼香がどう立ちふさがったのかとか、妄想が広がります。こういうおまけは大好きなので続けてほしい所。


 さて。本作において恋愛が成就した後に本当にその相手が好きなのか、どう好きなのか確かめられます。主人公も、ヒロインたちも皆。

【涼香の母】『あれから好きな人はできたの?』
      (涼香ルート)

 どのヒロインに聞いても答えはきっと似たような言葉で。

【涼香】「今も、私のとなりにいる」
【涼香】「その人の、そばで恋をしている」

 これはこれは素敵な恋のお話なのでありました。
 以上。イチャラブエロゲ好きにはお勧めの逸品です。プロフィールで示唆される別のお話――天才ランナー藤原京一のお話も待ってます。

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