世界が終わろうとする少し前、十三人の少年少女はそれぞれの謎に直面していた。ある少年は自分ではない自分の記憶に苛まれ、あるスケバンは幼馴染のスパイをすることになり、あるプレイボーイは画面に映るアイドルに話しかけられる。真相を解明していくうちに、やがて彼らはロボットを操縦し、襲い来る怪獣と戦うことになる――
待望のヴァニラウェアの新作は、十三人の少年少女を操作するアドベンチャーゲームでした。
総プレイ時間は25時間くらい。
これまでも絵本のような流麗なヴィジュアルに乗せて魅力的なゲームを生み出してきましたが、より一層丁寧に作り込まれていました。2D画面のアドベンチャーをここまで徹底的に完成度を高めると、こんなとんでもない創作物になるんだと感嘆するしかない逸物に仕立て上げられていました。
さて、まずアドベンチャー画面のアクションとリアクションについて。
そこに手加減は見当たりませんでした。キャラクタの歩く走る泣く笑うなど基本動作は当然、ちょっとした着替えといった些細なポーズもリアルっぽさと見栄え良さとを両立させていました。
なおネタバレにならない所で一番好きなアクションはこれ。フェッチぃ #十三機兵防衛圏 #PS4sharehttps://t.co/vRqb4JGCjp pic.twitter.com/LiTPNphAs9
— ぱぶ (@pub99) 2020年1月1日
背景や小道具自体や、キャラクタで操作した反応も言うまでもなく作り込まれていました。
世界を探索するパートにおいて、こうした画面上の周到さがキャラクタの存在感と世界への没入感を上げるのに威力を発していました。
そしてこのアクションはメインキャラクタたちが機兵に乗り込む機兵召喚で個人的に絶頂レベルへと至っていました。彼らが戦う意志を持った時、プレイヤは△ボタンを押し機兵召喚の手続きを取ります。そうすると体の一部分をなぞり、STARTの文字が緑に輝きながら浮かび上がり――轟音と衝撃と共に機兵がそこに在る。
ロマンとフェチとが渾然一体となり、陶然しました。
次いでシナリオ。
複数のキャラクタの視点からザッピング形式で真相を追っていくことになります。こちらも念に念を入れて作り込まれていました。
複数の視点で語られるこそ矛盾が生まれ時空の絡まりがより縺れていく序盤、次第に情報の照らし合わせで世界の理解へと進み、ついには隠された謎や露わになった矛盾が解かれていく。
これぞADVの醍醐味だという魅せ方で、ジュブナイルSFの王道を語ってもらいました。
過不足ない語り口調は最後まで貫かれ、エピローグも見事でした。余韻を残しながらも見たい締めの最後まで見せてくれましたね。
最後にタワーディフェンス形式の戦闘パート。
NORMALで全てプレイしましたが、気を抜けばやられるけど自機をきちんと成長させればまずゲームオーバーになることはないという程良い難易度でした。
キャラ同士の掛け合いの妙や、シナリオと連動した緊迫感で最後まで惰性にならずに集中してプレイ出来ました。
落穂拾い。
・ガンパレード・マーチなど似たような空気の作品は色々と上げられますが、個人的に思い浮かんだSFは『ぼくらは虚空に夜を視る』。
・一番好きなカップリングは・・・・あーネタバレになりますが、猫と彼女です。メインだと由貴×奈津乃ですかね。やはり百合ですよ、百合(目がグルグル
・もう一つフェチに関して語れば、相葉が撃たれた時の壊れ方がG的にときめきました。
以上。重ね重ね言いますが丁寧に作り込まれた傑作でした。お薦め。
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OHP-『十三機兵防衛圏』公式サイト