紅蓮館の殺人 雑感

. 著名な推理作家が建てた絡繰屋敷を探しに男子高校生2人組が登山していた。道中落雷による山火事に出会い、偶々その屋敷に避難することになった。迫る火から脱出するために秘密の通路を見つけようとする最中、事件が起きる―― と言った感じに始まる、これか…

終わらない歌 雑感

『よろこびの歌』から3年後を書いた小説。 一直線の綺麗なだけの未来は当然のように待っていませんでした。 御木元玲は音大で自らの歌を信じられなくなり埋もれていた――ばかりか、歌で同級生に光を見せたあの御木元玲がつまらない男に引っかかろうとさえ。 …

よろこびの歌 雑感

御木元玲は声楽のため音大付属高校を受験したが不合格となった。不本意ながら明泉女子高等学校普通科に入学してぼんやりした日常を1年以上続けていたが、2年生秋に合唱コンクールで指揮者に選ばれてからなにかが変わっていく―― 合唱イベントと御木元玲の再起…

スペクトラルウィザード 雑感

魔術師とそのギルドはテロリストに認定され、科学技術で武装する騎士団に狩られていく。魔術師は激減し、魔術ギルドは崩壊した。数少ない魔術師の生き残りであるスペクトラルウィザードは市井に隠れて密やかに生きていこうとするが―― 分類ゴーストメイジ、ゴ…

蜜蜂と遠雷 上・下 雑感

第6回芳ヶ江国際ピアノコンクールの予選から本選までを書いた音楽小説。 最初から最後まで、音楽家と音楽の描写に奉仕されます。 結局、誰もが「あの瞬間」を求めている。いったん「あの瞬間」を味わってしまったら、その歓びから逃れることはできない。それ…

MinDeaD BlooD〜支配者の為の狂死曲〜 CompleteEdition 雑感

以前プレイして名作と受け止めた作品をリプレイしよう企画、その3。その1はさくらむすび、その2はこなたよりかなたまで。 備忘録なのであまり長々とした文章は書かないつもりです。 ・・・・・・・・ 青年・七瀬しずるは美しい双子の吸血鬼に目覚めさせられ…

華胥の幽夢 雑感

十二国記の第一短編集(新潮文庫での刊行順だと2番目になりますが)。 5編が収録されています。 『風の海 迷宮の岸』後の泰麒の麒麟としての役目の苦悩を書く「冬月」、『風の万里 黎明の空』後の王を弑した月渓の懊悩を書く「乗月」、『月の影 影の海』後の…

図南の翼 雑感

恭は王を失い、国が乱れていた。国難が27年間続き、誰も頼りにならぬと十二歳の少女・珠晶は自分が王になるために蓬山に登る旅に一人出る―― 少女の道程――門を越え、黄海を渡り、蓬山至り、麒麟に逢うまでを書いたド直球のロードノベルでした。 そこには何の…

冴えない彼女の育てかた Fine 雑感

公開初日に舞台挨拶ライブビューイング付で観てきました。 やばいやつでした。 萌える棍棒でぶん殴られ、どろっどろに濃い糖とスパイスの沼に沈められます。 何か握りしめるものを持って行けというアドバイスは正しく、殴りつける壁が必要でした。 少なくと…

好きな子がめがねを忘れた 1-2 雑感

隣の座席の気になる女の子・三重さんが眼鏡を忘れたのを純情な男の子・小村くんがサポートする様を連作短編で描いたラブコメ。 本作は何て言うんでしょうか。 シチュエーションが、強い。 眼鏡っ子が眼鏡を忘れて睨み目になるシチュ萌えの最右翼です。 ふわ…

ジョン・ウィック2 雑感

犬を殺され、車を盗まれたことでロシアンマフィアの組織を壊滅させたジョン・ウィック。今度は家を燃やされてイタリンアン・マフィアのカモッラを相手取る―― 現在3作目が公開されている最中なので劇場で観るために視聴。 スタイリッシュな殺し屋アクションが…

丕緒の鳥 雑感

新潮文庫に移ってから新しく編まれた十二国記の短編集となります。 一読してべた惚れ。こういうの大好き、という短編ばかりでした。 作品内世界の常識・共通認識・標準技術のみに基づき描写されることでその常識・共通認識・標準技術そのものへの理解がより…

空の青さを知る人よ 雑感

実のところ最初は観るつもりはあまりありませんでした。 ここさけが合わなかったですし、オルフェンズは生理的にダメでしたし、映画館で何度か見たCMもなんかノレませんでした。 しかしtwitterのTLで予想外に評判が良かったので、流されやすい身としてはこれ…

レイセン File1-8 雑感

『戦闘城塞マスラヲ』で聖魔杯を生き抜いたヒキオタニート・川村ヒデオが宮内庁神霊班に就職してからの騒動を書いています。 目つきが凶悪に悪く闇の住人や暗殺者などに勘違いされ、ストレス負荷がかかりすぎてぷっつんした時の口八丁で神や精霊までも唆すが…

風の万里 黎明の空 上下 雑感

十二国記の4作目は、3人の少女の物語でした。 1人は公主からの失墜を恨む少女――祥瓊。彼女は自らと同じ齢の少女が景王となりちやほやされることが許せず、簒奪するために景王に会おうとします。 1人は蓬莱から海客として漂着した日本人の少女――鈴。彼女は言…

東の海神 西の滄海 雑感

十二国記の3作目。 雁州国に延王尚隆が即位てから20年後、州候を父から委譲させた斡由がさらに上帝にならんと謀反を起こした顛末を書いています。 後に500年は続く雁国がまだ盤石ではない時代で尚隆と六太とがまだ完全には以心伝心に至っていない未熟な関係…

風の海 迷宮の岸 雑感

麒麟として生まれる前に蓬莱に流され人の子として育った泰麒は10年後に蓬山に帰還する。彼はそこで王を選ぶ麒麟としての生き方に悩んでいく―― 十二国記の2作目。時系列としてはエピソード0「魔性の子」の高里が10歳ごろに神隠しに遭っていた時です。 高里/…

月の影 影の海 上下 雑感

平凡に生きてきた女子高生・陽子が教師に怒られていた時に奇妙な青年が突然現れて忠誠を誓われた。そして彼女は妖魔に襲われながら別の世界へと連れられていった。そこで1人にされた陽子は元いた日本へ帰る手段を探すために異世界を彷徨っていく―― 十二国記…

魔性の子 雑感

小学4年の時に神隠しに遭い、1年後に還ってきた少年・高里。彼に害を与えた人間には報いが訪れ祟ると噂されていた。高里が通う高校に教育実習で広瀬が赴任した時と同じくして高里の周囲に不穏な空気が立ち込めていく―― 十二国記のエピソード0であり、最も最…

ジョーカー 雑感

題名通り、バットマンのヴィラン『ジョーカー』を扱った作品。 前評判に違わず、暴力的な映画でした。 アーサーが酷い目にあってジョーカーになる、という路線からぶれません。なにもかもが悪い方に行くんだろうなあという諦念に囚われて観ることになります…

今昔百鬼拾遺 天狗 雑感

高尾山に登ると言い残した女性が失踪してから2か月後、失踪した女性が身に着けていた衣服を纏った"別の女性"が”別の山"で飛び降り自殺した死体で発見された。 天狗に攫われたような奇妙な事件が中禅寺敦子の元に持ち込まれ、彼女が持ち前の理性と正義感をも…

あせとせっけん 1-4 雑感

舞台は化粧品・バス用品メーカーの経理部勤務の八重島麻子は子供の頃から汗かきであることがコンプレックスで、制汗剤と消臭剤が手放せなかった。自社の新製品を楽しみにしながら地味に暮らしていたが、商品開発部のプランナーにして匂いフェチの名取香太郎…

ファイアーエムブレム 風花雪月 感想

フォドラの大地はアドラステア帝国・ファーガス神聖王国・レスター諸侯同盟の3か国が分割し危うい均衡を保っていた。それぞれの次代を担う人材はフォドラの中心部にあるガルグ=マク大修道院の士官学校で教育を受けていた。士官学校に主人公が教師として働く…

なめらかな世界と、その敵 雑感

出版社と編集者が百合SFの機運を高めて、実際機運が高まって、満を持して出版されたSF小説短編集。 もともと評価されていた書き手ですが、twitter上などで書き下ろし短編が凄まじいという前評判が立ちに立っていたので、これはもう読むしかという感じで購読…

神々のいない星で 僕と先輩の惑星クラフト 上・下 雑感

川上稔氏による新シリーズ。 大先端の時代<EDGE>を舞台とし、住良木・出見が唯一の人間として神々と共に惑星をテラフォーミングをしていく――というのが大筋。本作は1巻目であり、シリーズの世界観の怒涛のような説明と、主人公側のキャラクタの顔見せの色…

可愛いだけじゃない式守さん2 雑感

不幸体質の和泉くんと、その彼女の式守さんとの連作形式のラブコメ第2弾。 可愛いだけじゃない式守さん1の感想で書きましたが、格好良い! 可愛い!と叫びたくなる式守さんと、愛されるたびに美点が輝いていく和泉くんとの恋愛関係の糖度と強度がよりパワー…

僕の心のヤバイやつ2 感想

前にも書いた気がしますが、私は気になる漫画は基本的に単行本で購入派です。がっとまとめて読んでその作品世界に浸るのが好きなのと、1話1話の引きにやきもきするのがあまり好きではないことと、単行本を購入した時に新鮮な気持ちで読みたいことによります…

エンタングル:ガール 雑感

――この違和感を映画にできたら、あるいは美しい、世界の謎のひとつくらいは解き明かすことができる作品になるのではないだろうか。 (P41) 守凪了子が舞浜南高校の映画研究部に入部し映画を撮影する、4月5日から8月31日までのひと夏を描いた小説。 まずAIや…

帝国宇宙軍1-領宙侵犯- 雑感

700年以上前、100万を超える移民船の乗組員はワープ航法のエラーにより宇宙の迷子になり太陽系に戻れなくなった。彼らは地球に戻る方法を何としても見つけ出すことを国是とした銀河帝帝国を築き上げた。別の移民船から派生し、帝国を一方的に敵視する自由星…

鬼麿斬人剣 雑感

刀鍛冶・鬼麿の師匠が死に際、13年前の逃避行中に残した自らの名を汚す不出来な甲伏せの数打ちを折って欲しいと言い遺した。遺言を守るために鬼麿は120㎝を越える大太刀を背に師匠の嘗ての路を辿るが、その旅は奇妙な因縁と伊賀忍者の追手とで血の匂いに彩ら…