異界の怪物に干渉することで魔術を為す世界。最強の怪物の所有権を求め、100を超える魔術団体から1人選ばれた魔女がそれぞれの怪物を宿した異能で殺し合い、最後に生き残る一人を決める魔術決戦が開催された――
所謂一つの現代ファンタジーでバトルロワイヤル物です。
主人公の少女の名は水巻舞子。日常ではちょっと抜けたとぼけた少女であり、友人らと何気ない毎日を過ごしているのですが、魔術決戦のため人生の半数をかけて修練を積んでいます。目的は日常の証、友人の命を救うため。それを可能にするのは最強の怪物から生まれる魔術しか方法がなく、手に入れるため必ず最後まで生き残らねばならないと決意を立てています。ひいては――敵対した魔女は容赦なく殺す、と。
(『少女決戦オルギア1』 P110、P82)
日常と戦場との二面性を持った少女の造形としてかなり立っていると思います。
左で引用しましたが、少女らの絵は淡い独特な質感があり、見ごたえがあります。
同時に右で引用したように、バトルロワイヤルの常でもあるのですが、結構残虐な絵もバンバン入れてきます。慈悲などなく、簡単に傷ついていきますし、無様に命乞いしますし、死ぬ時は呆気なく死んでいきます。かなり暴力的と言って良いでしょう。
(同上、P18-19)
この肉と瑕、噴出する血のグロテスクな描き方もまた見応えがありました。
ここはもう受け入れられるかどうかにかかっていますが、可愛らしい少女たちが容赦の全く無い戦いに赴き、いずれかがその結末を迎えて骸を晒す――設定上一時だけですが――戦争を描いた作品としては正しいんじゃないかなと思います。そしてそれを成しえた画力もまた素晴らしいんじゃないかなと賞賛の念を惜しみません。
そして非情な結末を迎える過程の戦闘描写もまた、優れていました。
戦闘はある程度は異能の力の強度の差はありますが、ごり押しは効かず、頭脳戦の色が強いです。
(同上、P64)
どんなに余裕で倒せそうに見えても、罠である可能性があり、相手の異能の在り方を探っていくのが基本です。
気を抜くと倒される戦闘の中であり、完全なサーチはありえず、推測と随時の確認――即興性と柔軟性が試されます。
(同上、P140)
独特な絵による一枚絵においても覚える速度と痛み――何時決着がついてもおかしくない境を目の当たりにする灼けつく感覚。
これぞバトル漫画を読む快楽かと。
以上。力強くお薦めしたい逸品です。
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