春来の声が聞こえる。 「あたしの名前を」 とんとんと跳ねて赤音の正面にまわり、くるりと振り向く。のびやかな身体に長い黒髪をまとわりつかせた春来は、なにもかも美しく整った春の景色に完全にとけ込んでいた。 「赤音だけに呼ばせてあげる――」 声が空に…
引用をストックしました
引用するにはまずログインしてください
引用をストックできませんでした。再度お試しください
限定公開記事のため引用できません。