洗脳完了。〜絶望を超えて〜 体験版 感想

 id:mp_f_pp さんから

 と紹介されましたので、何時も趣味が合わないこともあり、期待半分にプレイしてみました。で、なんじゃこりゃあと驚愕しました。企画というかコンセプトというか、色々なものがぶっ飛んでいました。


 コンセプトを一言で言えば“ポスト凌辱ゲーとしての介護”。
 人身売買組織に攫われた彼女が3年ぶりに帰ってきたが、長年の凌辱生活によって記憶が無く、人格は崩壊し、すっかりと壊れてしまっていた――という状況を説明され、混乱する最中にこう宣言されるのです。

【浩子】「彼女を救うには、何よりも根気と愛情が必要になります。それは痴呆の介護以上に大変なことになるでしょう」
【卓也】「…………」
【浩子】「無理にとは言いませんけど……あなたにその意思があるならば、麻美さんの治療に協力してくれませんか?」

 現在は痴呆という言葉は使いませんし、比べると判りやすくなるなるけれども良くならないものと比べるのはどうかと思いもしますが、2004年発売なので取り敢えずは置いておきましょう。


 さあ、どう介護するのか――というSLGのゲームシステムが変でした。伸ばすステータスと方法が振るっています。
 ステータスは“狂気”“記憶”“社会性”“愛情”“伝達能力”。
 方法は“近所を散歩”“アルバムを眺める”“基礎学習”“歌をうたう”“ロールプレイ”“買い物に行く”“音楽を聴く”。
 いやはや、これらの情報が並ぶゲーム画面を初めて見た時点で参りました。特に“ロールプレイ”。心理学をある程度は齧った以上したのだろうと思わせる選択肢であり、介護目的にゲームに導入されたという存在感が大きかったです。


 それでこの体験版では実際にステータスを上げていけるのですが、上げていってもほとんど状態が変わらないように見えて、でも少しだけ良くなっている徴候が見えなくもない……という介護者のもどかしさが伝わるようになっていました。しかも随所で介護を通して感じた台詞を述べるのですが、結構良いことを言っています。
 例えばすぐに良くならないのを焦って彼女を目の前にして愚痴ってしまった所で、麻美が鳥の声を聞いてほのかに血色が戻ったシーンで曰く。

今の麻美に必要なのは、自然の恵みなんだ。
太陽の光、木々のざわめき、花の色、鳥や動物たちの声。
俺たちが、もっとも大切にしなければいけないものだ。
【麻美】「…………」
俺も、そして麻美も、この地球という星のおかげで生きている。
いや、生かされている。
俺はそのことを忘れ、壊れた人間一人の治療を、自分だけでやろうとしていた。
人間が人間らしく生きるために必要なのは、同じ人間だけではない。
麻美の治癒には、人間以外のものの優しさが必要不可欠なのである。
めぐる季節。
移り変わる季節。
生命の息吹。
それらの力を借りなければ、麻美は元には戻らない。

 うーん、全くです。


 以上。というように“ポスト凌辱ゲーとしての介護”のコンセプトを決めた時点で勝利を決められている上に中身もばっちりであり完璧にこなしそうに見える体験版でした。
 ……ただし、製品版に入ると、順調に下がっていた“狂気”を上げる方向に行く凌辱か、そのまま行く純愛かに分かれる平凡の極みに落ちるんじゃないといいなあといういやーな予感をしてしまっています。
 異質な手触りが本物かどうかを製品版で確かめるのが怖いので、何時か店で出会える幸運を待って購入するつもりです。


 以下妄言。
 考えてみるまでもなく、これは極めて暴力的なゲームでしょう。

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 洗脳完了。〜絶望を越えて〜 (BLACKGLOBE) (18禁)- Getchu.com