長門有希ちゃんの消失 第1〜6話 感想

 ヤングエースは破を見て以降高じたヱヴァ好きによって買い始めました。今の所前号買っているのですが、ヱヴァの付録があるから購入していると言っても過言ではありません。けれども他の連載を読んでいる内にある一つの作品に興味を引かれました。


 題名は『長門有希ちゃんの消失』。原作は谷川流、漫画はぷよ。題名と原作から判る通り涼宮ハルヒ、特に『消失』の公式スピンオフとなっています。
 第1話の冒頭で語られる有希とキョンの出会いは『消失』と同じで市立図書館で貸し出しカードの作り方が判らず困っていた有希をキョンが助けるというもの。それ以来有希がキョンを慕うようになって文芸部に誘ったと言うのも同じです。
 異なるのは有希の性格でオリジナルの有希でもなく、引っ込み思案が過ぎた改変有希でもなく、“少し内気な普通の少女”となっています。照れ屋で、おとなしくて、でもノリがよく、キョンの反応に一喜一憂します。
 朝倉涼子が文芸部に所属していて、基本的にはその3人で部活をし、時には一緒に夕食を食べる友好的な関係を築いています。そこに鶴屋さんとみくるが関わってきて、騒がしい日常になっていく、という説明までが第1話。第1話の最後で、

 これは
 少し内気な普通の少女
 長門有希の物語

 というように、これは長門有希の物語であると開幕宣言されます。その時にすれ違ったのは髪の長い別の高校の黒い制服をまとった少女。つまりは『消失』の、改変ハルヒです。
 ここで物語の最大の謎が投げ掛けられていると取りました。


 “何故本作はこのような世界となっているか?”


 大方のスピンオフはそのような設定であるという前提の元に別世界が積み立てられるのですが、本作では逆算されていくのでしょう。
 

 とまあ、そんな風に私は興奮したのですが、第2話以降ではキョン、有希、涼子、鶴屋さん、みくるたちが混じって、まったりとラブコメ進行していきました。
 有希が素腹を見せて、

 「私のお腹どうだった?」(第2話)

 と聞いたり、みくるに嫉妬したり、キョンに顔を近づけられてどぎまぎしたり、綿で雪合戦してみたりと、可愛い有希ちゃんに萌えまくりでした。それに特殊属性がない癖のあるだけの日常がそこまで紙面を費やしていないにも関わらず描けていました。
 そうして『消失』で辿り着く前だったクリスマスパーティに突入します。サンタコスだったり、雪空の下キョンと有希が二人で上着を羽織ったり、いい雰囲気になったりとお約束を経るのですが、現在最新の第6話で図書館で助けられてからキョンを文芸部に誘うようになったきっかけが仄めかされて再び原作とリンクしていきます。
 なにしろ、誘った人影は改変ハルヒ
 何故有希を知っているのか、何故有希にキョンへの接触を薦めたのか――世界の謎の答えに到るまでのヒントになるのでしょうが何もかもが未だ不明です。
 こうした萌え有希との日常と『消失』とのリンクとの見せ方が上手いため、引き込まれたのでしょう。絵も可愛いですし。


 そんな訳で世界の謎に徐々に近づいているため、以降の展開に目が離せません。続きを楽しみにしています。

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