火星甲殻団 感想

 まず設定が大変好みでした。
 テラフォーミングに失敗した火星では人と機械知性とは共生関係を作っていて、子供の頃から共に育った機械知性と協力して自分用の機械生物=ヴィートルを作り火星の荒野に旅に出る――。
 この人間と機械との関係性にぞくぞくします。
 話の筋は明快で、只管に復讐劇。ヴィートルは盗賊団に襲われ、18年連れ添った人間を失い、車輪を失い、装備を失った。しかし機械車は瀕死になりながら地を這い必ず復讐すると心に誓う――という格好良さよ。見つけた相棒もまた影があるというのもアウトローらし過ぎました。オチの虚無と、あらかじめ宣言され、待ち受ける未来に眩暈しました。
 文章は「――」という文学線を流石に使い過ぎでちょっと残念でしたね。書き込み過ぎないスピード感は武器ではあるけど、あんまりにもやり過ぎると文章の品格を落とすかなと。

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