ハーモニー コミック版 3 ,4 雑感

とうとう最終巻まで読んでしまいました。 トァンとミァハの物語、そして人類の意識の物語はここに終焉を迎えました。 原作からして傑作なのですが、最初から最後までとんでもない画で素晴らしいコミカライズを成し遂げたことに感謝を。これは描き上げるのに…

2.5次元の誘惑 1-8 雑感

漫画研究部の部室で1人アニメに興じてた少年をコスプレイヤー志望の少女が訪れる。エロいコスプレのROMを作りたい、ついては写真を撮って欲しい、と。そして好きな物を好きだと主張するオタクの生き方を始めていく―― 評判は良かったもののジャンプのエロラブ…

飛び立つ君の背を見上げる 雑感

『響け! ユーフォニアム』のスピンオフ小説で、中川夏紀視点で3人の同級生――吉川 優子、鎧塚 みぞれ、傘木 希美――とのエピソードが語られます。 まずこのシリーズはアニメ経由で決意の最終楽章前編が刊行された頃に原作小説に手を伸ばしました。入学し、部…

私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 19 雑感

高校3年の夏休みの終盤~2学期の初日までが収録されています。 本シリーズはこれまで多くの話を重ねて青春物としての実績を積み上げてきました。主人公・黒木智子は自意識過多のボッチから、徐々に徐々に人の輪が広がっていき、誰かと一緒に行動することを念…

葬送のフリーレン 1-3 雑感

魔王を倒した勇者一行の一人、エルフにして魔法使いのフリーレン。彼女は魔王を倒した後、魔法を収集する旅に出た。 そして50年後に流星を観に行こうと約束した勇者の元に訪れたが―― 戦後の物語。或いはエルフの時間 人間の時間――スケールの異なる生き方のお…

ストーカー 雑感

地球外生命体が地球に遺した異常な空間ゾーン。容易に死に至る奇妙な現象の数々を掻い潜りながら残遺物を持ち帰って売りさばく輩はストーカーと称された。赤毛の青年・レッドリックもまたその一人であった―― というSF長編。 古典的名作と名高い作品ですが、…

TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す 3 雑感

これまでヤンデレのアラクネやはた迷惑な妖精に魅入られて来て、今度はショタコンの幽霊と、親友たる中性人と出会う―― 1,2巻で偏執的なスキルビルド描写と異種間慕情によってこのシリーズをがっつりと好きになったのですが、我慢していることがあります。 …

TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す 1,2 雑感

TRPG愛好者だった主人公が異世界転生をし、熟練度を自由に割り振ることが出来る権能を得た。彼は心の赴くまま、膨大な数のスキルをビルドして生きていくことになる―― というなろうで連載されているネット小説を書籍化したライトノベルシリーズ。 1巻が電子書…

焼いてるふたり 1 雑感

――クールビューティは、好きですか? ラブコメはありえるありえないの話ではなく、どれぐらいありえて欲しいかどれだけにやにや出来るかを重視しています。 マッチングアプリでデザイナーをしているクールビューティ――しかも性格が良くてすれていない――とマ…

世界の終わりの庭で 雑感

遥か未来、嘗ての文明が廃れた世界で、右手のない美しい女性型の機械人形が掘り出された。 ティフォンの名乗るそれは、彼女を売る世話をする同様に女性型の機械人形に嘗てあった出来事を語り出す―― という出だしのSF百合小説。 連作短編形式で、ティフォンの…

この会社に好きな人がいます 1-5 雑感

ツダ製菓会社に勤める同期の男女が犬猿の仲と目されているが、実は隠れて社内恋愛をしている――というラブコメ。 実はけっこうラブコメが好きです。しかも甘ければ甘いほど好きですし、ストレス(疑心暗鬼の三角関係とか親戚関連のいざこざとか)が無い方が好…

光圀伝 雑感

水戸徳川家第2代当主・光圀の一生を書いた時代小説。 歴史を取り上げた小説は作者の解釈が試されます。 時代の流れや出来事は既に決まっており、都合よく動かすことは出来ません。 その上で実在した人物がどう考えて、どう動いて、そしてどう死んだかを、ま…

天涯の砦 雑感

地球を周回する軌道に浮かび観光施設からホテル・工場まで内包した複合体<望天>が大事故を起こし、北極に位置する円盤が崩壊した。円盤から切り離された残骸の中に幸運にも数人と1匹の犬が生き残っていた。彼らはそれぞれの目的のために生還するために行動…

まほり 雑感

少年・淳は山深い渓流で自分の眼を物ともせず小用を足す奇妙な少女に出会う。彼女は山向こうの隔絶された集落に住み周りからは"馬鹿"と称される出だったが、興味を惹かれた淳は少女の正体を探ろうとする。 勝山裕は社会学を志し大学院入試を間近に控えた大学…

Fate/Grand Order-Epic of Remnant-亜種特異点3/亜種並行世界 屍山血河舞台 下総国 英霊剣豪七番勝負 3 雑感

英霊剣豪七番勝負の第3巻。英霊剣豪”アサシン・パライソ"戦の開始までが描かれています。 繰り返しになりますが――絵面が相変わらずトンデモない、の一言。このシリーズの漫画化で見たい絵を想像以上の代物でぶつけてくる手腕は健在。 えげつないぐらいに精緻…

よふかしのうた4 雑感

毎回毎回、小さなコマからシチュエーションまで、フェチのツボを力強く押してくれる本シリーズ。 今回もまた暗くて明るい『よる』のお話として最高でした。 シリアス的に大きな物語が進む後半という見所や、夜の時間を過ごす教師のささやかな挿話でほっこり…

水戸黄門 天下の副編集長 雑感

国史編纂の事業は締め切りを破る作家達のために完成が延びていた。先の副将軍・光圀公は覚兵衛と介三郎とを共に原稿取り立ての旅に出る―― 水戸黄門をパロディにしたギャグ物の時代劇小説。 作家のそれぞれが原稿を書けない言い訳がしょうもない事件になり、…

公園で高校生達が遊ぶだけ 雑感

飾っていない題名のライトノベル。 ちょっとびっくりするぐらいに、本当に題名通りです。 絶対ナニカ裏があるんでしょと思いながら読み進めたのですが、全くそんなことはありませんでした。 高校生たちが放課後から夜にかけて公園に集まって、しょうもないこ…

きつねのはなし 雑感

森見登美彦による怪異短編集。 現代の京都でふと魔に遭い、道が少しずれる。会ってはならないものを見てしまい、目をつけられ、闇を知って真っ当に生きていくことが出来なくなる。そんなはなしです。 「いいですか」 彼女はゆっくりと言った。 「お礼は後日…

アイネクライネナハトムジーク 雑感

伊坂幸太郎による連作短編集。後書きで作者本人が率直に語っているのですが、珍しいぐらいに殺伐とした奇妙な要素が取り上げられず恋愛色が表に出ていました。 いずれの短編も、男女のそれぞれの出会いがメインとなっています。 「じゃあ、おまえの言う理想…

インシテミル 雑感

ある人文科学的実験のバイト広告が掲載された。7日間24時間拘束し、時給は112000円。切実に金を求める者、冷やかしの者、何気ない者、流された者、トラブルを期待する者――様々な事情を持った被験者が集う。12人が<暗鬼館>に閉じ込めれて実験は開始され、そ…

駿河城御前試合 雑感

戦乱の日々が終わり徳川家により天下が統一され家光が将軍についた時代。家光に取って代わろうと目論む秀忠の次子・駿河大納言忠長の命により、駿河城真剣御前試合11番勝負が行われた―― 凄惨なチャンバラ時代劇小説。 非常に高名ですが、「シグルイ」と「腕…

探偵が早すぎる 上・下 雑感

女子高生・十川一華は父の死により5兆円を相続する権利を得て以来、遺産の相続権を巡って親戚に命を狙われることになった。亡き父に雇われた家政婦は事件を発生前に未然に防ぎ同じトリックで仕返しする探偵"トリック返し"を一華のボディーガードとして呼び寄…

月と太陽 雑感

瀬名秀明氏によるSF短編小説集。ノンシリーズの5作が編まれています。時勢によるのかどの短編も東日本大震災の影響が色濃く出ていました。 その上で全体的な印象としては、これまでの作品でもあったような力強いポジティブさを感じました。 より良い未来への…

魔法少女にあこがれて 1-2 雑感

魔法少女推しの平凡な少女・うてなは悪の女幹部に変身させられて魔法少女と敵対することになった。最初は嫌々ながらだったが魔法少女との戦闘を重ねるにつれて、うてなの才能が開花していく―― ジャンルは魔法少女物のパロディにして、ちょいエロありのコメデ…

血界戦線 オンリー・ア・ペイパームーン 雑感

10年後の未来からザップの娘を名乗る少女・バレリーが訪れた。彼女が「スポイラータイム」と言葉にするとき、自動的に未来の出来事が語られる。バレリーの正体と目的をライブラの面々は探ろうとするが―― 内藤泰弘の『血界戦線』を、『魔術士オーフェン』の秋…

Fate/Requiem 1 雑感

嘗て聖杯戦争があった。戦争が終わって平和になった現在、誰もが聖杯を持ち、サーヴァントを召喚するようになった。そして人類は聖杯の力で不老不死を達成した。世界で唯一人聖杯を持たない少女・宇津見エリセは、召喚出来るサーヴァントもおらず、自然に成…

鬼滅の刃 20 雑感

丸々一冊、上弦の壱・黒死牟戦。 時透が左手を失い、玄弥がバラバラに切断され、"岩柱"と"風柱"が巧みに連携をしても追い詰められていく。 如何にしてこの4名で黒死牟の頸を斬るのか――。 まず、この強靭な武を張る敵との戦いが熱い。 これまでの繰り返しでも…

シルトの梯子 雑感

イーガンによるSF長編。ひーこら言いながら2週間かけてちびちび読みました。 それが楽しいので良いのですが、ハードSFここに在りと言う歯応えが強すぎ。一文一文一節一節を理解しながら読み進めていくのはとうの昔に諦めているのですが、ざっくり把握するの…

バーナード嬢曰く。5 雑感

読書ネタと読書家ネタと百合とを同時に高濃度で供給する作品としては、このシリーズがぶっちぎりのトップランナーです。 毎回毎回読書しぐさで頷いたり笑わせられたり、神林と町田の関係性が深まっていくのをにやにやきゅんきゅんとしながら読んできました。…