ストライク・ザ・ブラッド 1-18 雑感

 最近集中的に読んでいて、購入していたところまで読み切ったので簡単に感想を。


 人間と魔族が混在して生きる世界。中でも吸血鬼は強力な種族であり、始まりの吸血鬼たる<真祖>の三人はそれぞれ巨大な王国を支配していた。
 しかし日本の魔族特区"絃神島"にも第四の真祖がいた。其は領土を持たない最強の吸血鬼と噂されたが、日常では落ちこぼれ気味の男子校高校生だった――
 

 吸血鬼の第四真祖にして男子高校生の暁古城を主人公にした冒険活劇。
 展開は毎回毎巻ほぼ同じで、極めて安定性があります。
 敵が襲撃してきてピンチになる→ヒロインが古城の手助けをして盛り返す→古城がヒロインの血を吸ってパワーアップして真祖の圧倒的な力で敵を倒す→でも強くてもヒロインの圧しや学校の課題には勝てないやれやれ――みたいな。
 その合間にメインヒロインの雪菜の下着や裸を見るハプニングエロが巻き起こり、新ヒロインは必ずこまされ吸血行為されます。
 1巻からストライク・ザ・ブラッドという作品のテンプレ-トはきっちりと完成しており、ぶれることがありません。
 この逆転の極め台詞が発せられるとき、物語は主人公の勝利で終着を迎えます。

「さあ、始めようか、オッサン──ここから先は、第四真祖<オレ>の戦争<ケンカ>だ」
 雷光をまとった右腕を掲げて、古城が吼える。
 古城の隣で寄り添うように銀の槍を構えて、雪菜が悪戯っぽく微笑んだ。
「いいえ、先輩。わたしたちの聖戦<ケンカ>、です──!」
  (ストライク・ザ・ブラッド1 聖者の右腕 (Kindleの位置No.3945-3950))

 飽きもせず積み重ねられてきたからこそ、もうこれ以外だと身体が受け付けないというか、逆にこれを求めて読み続けているところまで来ているかもしれません。下手な大敗北とかNTRとか勘弁して欲しいにもほどがあります。
 水戸黄門に悪代官逆転エンドは必要ないのですよ。
 シリーズ全体を見れば15までで大きな流れの区切りが一つつきます。16~18は単巻完結物。まだまだ追いつくには十分なので、そこそこ出来が良い手ごろなライトノベルを読みたかったらお薦めかと。


 それにしても、戦闘系・落ち物系のお約束を踏みつつ、設定にSFガジェットの趣向を盛り込んで設定厨にも目配せし、複数ヒロインを乱立させながらメインヒロインの格を飛びぬけさせる――という高度なパッケージングの達成。
 恐らく商業的に大成功を納めており、コールド・ゲヘナをスタートにしたライトノベル畑側では、これが作者の一つの到達点なのでしょう。


 なお個人的に一番好きなヒロインは那月ちゃん。

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